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はじめに 2026-09 更新

シンガポールのビザの種類

就労パス6種を「誰が申請するか」で分けて比較し、COMPASSの審査と2027年の給与引き上げまで整理します。

本記事の情報は参考目的です。制度は変更される場合があります。最新情報はMOM(人力省)・ICA(入国管理局)の公式サイトでご確認ください。

シンガポールの就労パスを選ぶとき、最初の分岐は給与でも職種でもありません。誰が申請するかです。雇用主しか申請できないものと、本人が直接申請できるものに分かれていて、これが移住の組み立て方を決めます。日本語の解説ではこの軸がほとんど示されていません。

パス申請するのは最低給与(2026年9月時点)有効期間
ONE Pass本人固定月給 S$30,000最長5年、5年ごとに更新
PEP本人固定月給 S$22,500最長3年、更新不可
EntrePass本人定めなし(資金調達等の要件)初回と1回目の更新は1年、以降2年
EP雇用主一般 S$5,600、金融 S$6,200初回最長2年、更新最長3年
S Pass雇用主一般 S$3,300、金融 S$3,800初回最長2年、更新最長3年
Work Permit雇用主定めなし最長2年

本人が申請できるのはONE Pass、PEP、EntrePassの3つだけです。EP、S Pass、Work Permit、そして家族向けのDependant's Passは、雇用主か認可された人材紹介会社しか申請できません。EPは本人が申請すると書かれた記事が多くありますが、そうはなっていません。

EPは給与だけでは通らない

2023年9月1日以降、EPの審査は二段階です。最低資格給与は入口の条件にすぎず、そのうえでCOMPASSという枠組みで40点を取る必要があります。更新については2024年9月1日以降に満了するEPから適用されています。

項目内容配点
C1 給与同業種・同年齢の現地PMET給与と比べた水準0点・10点・20点
C2 学歴学位の水準0点・10点・20点
C3 国籍の多様性申請者の国籍が社内PMETに占める割合0点・10点・20点
C4 現地PMETの雇用比率業種内での位置0点・10点・20点
C5 技能ボーナス不足職種リストの該当最大 +20点
C6 戦略的経済優先度ボーナス対象プログラムへの参加+10点

C1は90パーセンタイル以上で20点、65から90パーセンタイル未満で10点、65パーセンタイル未満は0点です。C3は申請者の国籍が社内PMETの5%未満なら20点、5%から25%未満で10点、25%以上は0点になります。ここでいうPMETは月S$3,000以上を稼ぐ従業員で代用されています。

C3とC4は自分では動かせない

6項目のうちC3の国籍多様性とC4の現地雇用比率は、勤務先の属性で決まります。本人の経歴や給与では変えられません。日本人が多い会社に転職すると、同じ経歴でもC3が0点になります。転職先の選び方がそのまま審査結果に効きます。

救済と減点の規定があります。社内PMETが25人未満の企業はC3とC4がともに自動的に10点になります。社内PMETに占める現地比率が70%以上の企業は、業種内の位置にかかわらずC4で最低10点が保証されます。逆に、申請者の国籍が勤務先PMETの3分の1以上を占める場合、C5の技能ボーナスは20点ではなく10点に半減します。

COMPASSが免除される3つの場合

  • ✓固定月給がS$22,500以上の候補者
  • ✓海外からの社内転勤者
  • ✓1か月以内の職務を埋める候補者

固定月給S$22,500はPEPの申請ラインと同額です。この水準を超えると、勤務先の国籍構成に左右されずにEPを取れることになります。2027年の資格給与引き上げ後もこのラインは据え置かれます。

2027年1月に最低給与が上がる

2026年3月のCOS 2026でMOMが公表した内容です。2027年1月1日以降に提出する新規申請と、2028年1月1日以降に満了する更新申請から適用されます。

区分現行2027年1月から
EP 一般業種S$5,600S$6,000
EP 金融サービス業S$6,200S$6,600
EP 一般業種(45歳以上)S$10,700S$11,500
EP 金融サービス業(45歳以上)S$11,800S$12,700
S Pass 一般業種S$3,300S$3,600
S Pass 金融サービス業S$3,800S$4,000
S Pass 一般業種(45歳以上)S$4,800S$5,100

最低資格給与は年齢とともに上がります。同じ職務でも45歳の申請者は36歳の申請者よりはるかに高い給与が求められます。年齢が上の人にとって実質的な制約は、ここにあります。

新規と更新で適用時期が1年ずれるため、2026年12月までに申請したEPは旧基準で審査されます。最初の更新も、満了が2027年12月31日までであれば旧基準のままです。申請時期を動かせる場合は検討の材料になります。

MOMはS Passの最低資格給与が2030年ごろまでにS$4,000からS$4,500の水準になる見込みだとも明記しています。

本人が申請できる3つのパス

ONE Pass

申請日までの12か月連続で固定月給S$30,000以上を得ていることが要件です。年収ではありません。あわせて、時価総額US$5億以上または年商US$2億以上のestablished companyでの就業が求められます。就業見込みの場合は6か月以内の開始が条件です。有効期間は最長5年で、5年ごとに更新できます。

更新の要件は公表されています。シンガポールでの過去5年の平均月収がS$30,000以上であるか、シンガポール法人を設立してEPの資格給与以上で現地従業員5名以上を雇っていることのいずれかです。

2027年1月にAI and Techトラックが新設されます。このトラックでは、月S$30,000の要件を固定月給S$22,500以上と権利確定済みのESOPやESOWの組み合わせで満たせます。対象はテック企業、企業内のテック部門、テック系ベンチャーキャピタルでの創業者、Cクラス、または技術職として直近10年以内に通算5年以上の経験を持つ人です。企業要件も通常より広く、運用資産US$5億以上のファンドや、US$3,000万以上を調達したテック企業も含まれます。

Tech.Passは2027年1月28日に受付終了

新規申請も更新申請も受け付けられなくなります。既存の保持者は有効期限まで保持したうえで、その後にONE Pass(AI and Tech)トラックなど別のパスを検討することになります。Tech.Passがこれからも使えると書かれた記事が残っていますが、現行の予定と違います。

PEP

雇用主に紐づかないため、転職しても再申請が要りません。その代わり制約が重く、有効期間は最長3年で更新が一切できません。一度きりの発給です。

申請時の要件は固定月給S$22,500以上です。海外在住から申請する場合、申請前6か月以内に得ていた額である必要があります。2023年9月1日以降の申請者は、取得後に暦年でS$270,000以上を稼ぐ義務があり、翌年1月31日までにMOMへ年間所得を申告して確認されます。6か月を超えて無職の状態が続いた場合はパスを返納します。

フリーランス、個人事業主、株主を兼ねる取締役、起業を予定している人は申請できません。スポンサーシップ制度でEPを取得した人と、報道や宗教関連などの制限職種も対象外です。

EntrePass

ACRA登録会社の株式を30%以上保有したうえで、単一ラウンドでのS$100,000以上の資金調達、認定アクセラレータやインキュベータの支援、ベンチャー支援企業の売却実績、公認機関に登録した知的財産、大学やA*STARとの共同研究のいずれかを示す必要があります。

設立から12か月を超えた会社で申請すると、新規要件ではなく更新要件で審査されます。設立後1年が実質的な線引きです。更新の要件は回数を重ねるごとに上がります。

更新回数年間事業支出現地従業員
2回目S$100,0001名
6回目S$700,0005名
11回目S$1,150,00010名

家族を呼ぶための給与ライン

EPまたはS Passの保持者が家族を帯同するには、本人の固定月給に条件がつきます。家族は自動で帯同できるわけではありません。

呼ぶ相手パス必要な固定月給
配偶者、21歳未満の未婚の子Dependant's PassS$6,000
事実婚の配偶者、21歳未満の未婚の継子、21歳以上の障害のある未婚の子LTVPS$6,000
親LTVPS$12,000

EPの最低資格給与S$5,600とDependant's PassのS$6,000には差があります。EPが下りても家族を呼べない給与帯が存在します。

Dependant's Passで就労する場合の扱いは DP(Dependant's Pass) にまとめています。被雇用者向けのLetter of Consentは2021年に廃止されています。

費用と処理期間

パス申請料発給料処理期間の目安
EPS$105S$225オンラインで10営業日以内
S PassS$105S$100-
EntrePassS$105S$2256週間
Student's PassS$45S$601週間から1か月

承認されるとIPA(原則承認)レターが発行されます。入国してパスの発給を受けるまでの期限は6か月です。承認が出ても放置すると失効します。

Student's PassはMOMではなくICAの所管です。処理期間は教育機関の種類で変わり、高等教育機関が1週間、EduTrust認定校が2週間、認定私立教育機関の新規申請は1か月です。

その他のパス

Work Permitに最低給与の定めはありません。承認された送出国・地域の出身者で、申請時に18歳以上62歳未満であることが条件です。有効期間は最長2年で、業種別の人数枠とレビーがかかり、家族を帯同するパスは用意されていません。従来あった最長雇用期間の制限は2025年7月1日に撤廃されました。

S Passには人数枠があり、サービス業が全従業員の10%、建設・製造・造船・プロセスの各業種が15%です。これは外国人全体の枠とは別のS Pass専用の上限で、両方が同時にかかります。月額のレビーは2025年9月1日から全業種・全ティア一律S$650です。業種別・ティア別の古い表で説明した記事が残っていますが、現行とは違います。

日本語の情報でよく間違っているところ

  • ✓EPの最低月給はS$5,000。2023年9月1日より前の基準です。現行は一般業種S$5,600、金融サービス業S$6,200です。
  • ✓EPは本人が申請する。EP、S Pass、Work Permit、DPは雇用主か認可された人材紹介会社しか申請できません。
  • ✓最低給与さえ満たせばEPが取れる。2023年9月からは給与とCOMPASS40点の二段階です。
  • ✓COMPASSは自分の経歴だけで決まる。6項目のうちC3とC4は勤務先の属性です。
  • ✓PEPは更新できる。一度きりの発給で、最長3年で終わります。
  • ✓ONE Passは年収S$30,000。固定月給がS$30,000で、申請前12か月連続で満たしている必要があります。
  • ✓Tech.Passはこれからも使える。2027年1月28日に新規も更新も受付終了します。
  • ✓家族は自動で帯同できる。配偶者と子でS$6,000、親でS$12,000という給与ラインがあります。

それぞれの記事へ

条件と手続きの詳細は個別の記事にまとめています。 EP(Employment Pass)、 ONE Pass、 PEP(Personalised EP)、 EntrePass(起業家ビザ)、 DP(Dependant's Pass)。

移住後に永住権を検討する場合は 永住権(PR) を、国籍の取得まで考える場合は シンガポール国籍の取得と日本国籍 をご覧ください。

本記事の情報について

2026年9月時点のMOM、ICA、EDBの公開情報と、2026年3月3日に公表されたCOS 2026のファクトシートに基づいています。ONE Pass(AI and Tech)トラックの更新要件と非現金報酬の評価方法は、MOMが今後公表するとしており未確定です。申請前にMOM(mom.gov.sg)で最新の情報をご確認ください。

参照した一次情報

自分に必要なビザと手続きを一覧にする

家族構成と時期を答えると、ビザの申請から入国後の手続きまでが順番に並びます。質問は5つ、登録なしで使えます。

移住ロードマップを作る

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