要注意 2026-09 更新

永住権(PR)

シンガポール永住権の申請条件・費用・審査期間と、取得後に生じる義務を公的情報で解説。

本記事の情報は参考目的です。制度は変更される場合があります。最新情報はMOM(人力省)・ICA(入国管理局)の公式サイトでご確認ください。

日本語の情報では、永住権の申請にはEPを6か月以上、あるいは2年から3年の在住実績が必要だと書かれていることが多くあります。この数字はICAの公開情報のどこにもありません。ICAは最低就労期間も最低給与額も公表していないというのが、一次情報で確認できる事実です。

6か月という数字の出所は、提出書類の一覧にある「直近6か月分の給与明細」だと考えられます。ICAは就労6か月未満の場合について、在職期間に応じた給与明細を出せばよいと回答していて、就労期間の短さ自体が申請を妨げるとは述べていません。

申請できる区分

ICAが挙げているのは次の6つです。日本から移住した人の多くは、就労パス保持者としての申請になります。

  • ✓シンガポール市民または永住者の配偶者
  • ✓市民または永住者の21歳未満の未婚の子
  • ✓21歳以上の市民の高齢の親
  • ✓Employment PassまたはS Passの保持者
  • ✓シンガポール国内の学生(PSLEまたはGCE N・O・Aレベルのいずれかに合格した者、Integrated Programmeに在籍する者)
  • ✓Global Investor Programme経由の投資家

MOMはEP保持者向けとONE Pass保持者向けの別々のFAQで、いずれも永住権を申請できると回答しています。どちらもパスの保持期間について条件を置いていません。申請は本人のSingpassでICAのeサービスから行い、家族を扶養家族として同じ申請に含められます。

費用と審査期間

段階項目金額
申請時申請料(1件あたり)S$100
承認後Entry PermitS$20
承認後Re-Entry Permit(5年)S$50
承認後Identity CardS$50

いずれも返金されません。ICAは承認者に他の費用を後から案内することがあるとも書いているため、完了時の費用がS$120で打ち止めとは限りません。

審査期間についてICAが公表しているのは「必要書類がすべて揃い不備がなければ6か月以内に処理する」という上限です。同じ文に「6か月を超える申請もある」という但し書きが付いています。4か月から6か月という説明を見かけますが、下限の数字をICAが示したことはありません。

審査で見られるもの

ICAが挙げているのは、シンガポール人との家族関係、経済的貢献、資格、年齢、家族構成、居住年数などです。原文は「factors such as」という例示で、この6つで審査項目が尽きているわけではありません。

各要素の配点、重み付け、合格ラインはいずれも公表されていません。ICAは個別の申請について審査内容を開示できないという立場です。読者が最も知りたい「何年働けば通るのか」に答える公的な数値は存在しません。

提出書類

  • ✓現雇用主の在職証明書(オンライン申請日から3か月以内の日付で、職位・入社日・月額の基本給と総支給額を記載)
  • ✓直近6か月分の給与明細
  • ✓海外での就労がある場合は、直近3年分の所得税査定通知
  • ✓400×514ピクセル・背景白のカラーデジタル写真

書類は原本を用意し、英語以外のものには公式翻訳を添えます。ICAが認める翻訳は、発行国大使館によるもの、シンガポールまたは発行国の公証人が作成したもの、私的な翻訳に大使館の認証か公証を付したものに限られます。

不承認になったとき

異議申立て(appeal)の制度があります。専用のeサービスからのみ受け付けられ、窓口、メール、郵送では受理されません。申立ての期限は不承認通知の日から12か月以内です。スポンサーがいた申請では、スポンサー本人がSingpassで提出します。日本語の解説ではこの制度の存在自体が触れられていないことが多くあります。

再申請も可能ですが、ICAは前回から状況に変化がなく同じ書類を出すなら結果は変わらないと明言しています。

実際にどれくらい付与されているか

2024年に永住権を付与されたのは35,264人です。直近5年の年平均は33,000人で、その前の5年の31,700人をやや上回ります。

区分2024年の新規永住者に占める割合
20歳以下24.8%
21歳から30歳32.6%
31歳から40歳31.4%
40歳超11.3%
東南アジア出身63.9%
その他アジア出身29.6%
20歳以上で中等後教育以上の学歴85.5%

政府は年間の付与数に上限枠を設けているとは公表していません。付与数は申請の数と質、そして変化する需要によって決まると述べるにとどめています。国籍別の内訳は公表されておらず、日本人に限った承認率は分かりません。

投資による取得(Global Investor Programme)

EDBのContact Singaporeが運営する枠組みです。適格プロファイルは4種類あり、Established Business Ownersは3年以上の経営実績と直前年度および直近3年平均でS$200 million以上の売上、Family Office Principalsは5年以上の実績と不動産を除く純投資資産S$200 million以上を求められます。

オプション投資額内容
Option AS$10 million新規事業投資または既存事業の拡大。当該企業の30%以上の持分と経営陣入りが条件
Option BS$25 millionGIP-select fundへの投資
Option C運用資産S$200 millionシングルファミリーオフィスの設立。うちS$50 millionをシンガポールへ移しEDB指定の投資に配分

申請料はS$20,000で結果にかかわらず返金されません。審査に約12か月かかります。日本語圏に残るS$2.5 millionという数字は2023年3月の改定前の旧基準です。

取得したあとに効いてくること

永住権は取って終わりではありません。生活設計を左右する義務が3つあります。

Re-Entry Permitがないと資格を失う

永住権そのものに満了日はありませんが、国外に出るにはRe-Entry Permit(REP)が必要です。2025年12月1日に運用が変わりました。

REPを持たずに出国した場合は出国日から、有効なREPで出国して国外で失効した場合は満了日から、それぞれ180日以内にREPを申請しなければ、期間の末日の翌日に永住権を自動的に失います。期間内に申請しても不許可なら、結果通知の翌日に失います。

2025年11月30日までは、失効後1か月の猶予期間に申請すれば永住権を復活できました。この復活制度は廃止され、180日を過ぎた場合は異議申立ても受け付けられません。取り直すには新規の永住権申請をやり直すことになります。

更新は現REPの満了3か月前からMyICAでオンライン申請します。手数料は承認された有効期間1年につきS$10で、1年未満の端数も1年として計算します。標準の処理期間は1週間以内です。有効期間の長さをICAは公表していません。日本語圏で流布する「5年」という数字はICAの一次情報に存在せず、初回に発給されるものを一般化したものと見られます。

更新審査で見られる要素は公表されています。MHAは国会答弁で、就労してシンガポールに貢献し続けているか、シンガポールに家族の根があるかを基準として挙げ、引退した永住者の更新申請は約2%が却下され、主な理由は長期の不在と家族の根がないことだと説明しています。

男子の兵役

専門職・技術者・熟練労働者スキームまたは投資家スキームで、第一世代の主申請者として永住権を取得した本人は兵役を免除されます。対象になるのは親のスポンサーで永住権を取得した男子です。

16歳半で登録し、18歳で2年間のfull-time NSに服します。その後は将校が50歳まで、その他の階級が40歳まで、年間40日を上限とするOperationally Ready National Serviceが続きます。大学進学のための繰延は認められません。認められるのはGCE O・N・Aレベル、ポリテクニックのディプロマ、Higher NITEC、NITECといった大学入学前の課程だけです。

MINDEFによれば、2014年から2023年の平均で年約1,900人の第二世代の男性永住者が入隊し、年約450人が服役前に永住権を放棄しています。ICAは、兵役を果たさずに永住権を放棄または喪失した場合、本人の就労・就学・永住権・市民権の申請だけでなく、家族やスポンサーに発給されたREPの更新にも不利に働くと明記しています。

CPFの拠出が始まる

永住権の手続きが完了した時点でEmployment Passは取り消されます。同時にCPFの拠出義務が発生します。55歳以下で月給S$750を超える場合の率は次のとおりです。

時期雇用主本人合計
永住権1年目4%5%9%
2年目9%15%24%
3年目以降17%20%37%

3年目以降は市民と同じ率です。本人負担20%は手取りに直接効きます。Ordinary Wagesの上限は月S$8,000です。

税・医療・住宅の扱い

税務上、市民と永住者は一時的な不在を除きシンガポールに居住していれば居住者として扱われます。183日の要件が適用されるのは外国人だけです。

項目市民永住者外国人
公立病院C・B2病棟の入院補助50%から80%25%から50%なし
公立病院の専門外来30%から70%一律25%なし
ポリクリニックの診察料S$18.50S$37.50S$85.35
ABSD(1件目の住宅)0%5%60%
ABSD(2件目)20%30%60%
ABSD(3件目以降)30%35%60%

入院補助の率は世帯一人当たりの月収に応じた資産調査で決まるため、永住者が一律50%になるわけではありません。ABSDは2023年4月27日以降の率で、属性の異なる人が共同で購入する場合は最も高い率が物件価格の全額に適用されます。

住宅については、新築のBTOとresale Plus・Prime住宅は申請者本人が市民であることが条件のため、永住者だけの世帯は購入できません。買えるのは公開市場のresale unclassifiedまたはStandard住宅に限られ、申請者とコア居住者の全員が永住権の取得から3年以上経過している必要があります。世帯に2人以上の永住者が要るため、単身の永住者はこのルートを使えません。さらにマレーシア人以外の永住者世帯には、ブロック8%・近隣5%というSPRクォータの制約がかかります。

日本側はどうなるか

シンガポールの永住権を取得しても日本国籍は失われません。日本の国籍法11条1項が定めるのは自己の志望による外国籍の取得で、法務省が例示しているのは帰化です。永住権はこれに当たりません。

海外へ転出すると国民年金は強制加入ではなくなります。20歳以上65歳未満であれば任意加入を選べます。任意加入しなかった20歳以上60歳未満の海外居住期間は、受給資格期間には算入されるものの年金額には反映されない合算対象期間になります。日本とシンガポールの間に、保険料の二重負担を調整する社会保障協定はありません。

市民権を取得すると日本国籍を失います。永住権とはまったく別の話なので、 シンガポール国籍の取得と日本国籍 に分けて書いています。

日本語の情報でよく間違っているところ

  • ✓EPを6か月以上、または2年から3年の在住が必要。ICAは最低就労期間を公表していません。6か月は提出書類の「直近6か月分の給与明細」の誤読と見られます。
  • ✓審査期間は4か月から6か月。ICAが示しているのは6か月以内という上限だけで、同じ文に「6か月を超える申請もある」と書かれています。
  • ✓月給S$4,000以上が承認の目安。ICAは給与の基準額を公表していません。S$4,000は古いEPの資格給与の名残です。
  • ✓不承認なら再申請しかない。専用のeサービスで異議申立てができます。期限は不承認通知から12か月です。
  • ✓永住権は一度取れば永久。国外滞在にはREPが必要で、2025年12月1日からは180日以内に申請しないと資格を失い、復活制度も廃止されました。
  • ✓GIPはS$2.5 millionから。2023年3月の改定前の旧基準です。現行はOption AでS$10 millionです。
  • ✓永住権を取ってもEPを持ち続けられる。手続きの完了時点でEPは取り消されます。

本記事の情報について

2026年9月時点のICA、MOM、MINDEF、CPF、MOH、HDB、IRAS、およびPopulation in Brief 2025の公開情報に基づいています。制度と金額は改定されます。申請前にICA(ica.gov.sg)で最新の情報をご確認ください。

参照した一次情報

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家族構成と時期を答えると、ビザの申請から入国後の手続きまでが順番に並びます。質問は5つ、登録なしで使えます。

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