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要注意 2026-09 更新

シンガポール移住と日本の出国税(国外転出時課税)

日本を出国する際に課される出国税の対象・計算・納税猶予。

本記事の情報は参考目的です。制度は変更される場合があります。最新情報は国税庁・IRAS(内国歳入庁)の公式サイトでご確認ください。

出国税(国外転出時課税)とは

国外転出の時点で、所有する有価証券等(外国株式や海外口座の資産を含む)や未決済のデリバティブ取引などの対象資産の合計が1億円以上ある方が国外に転出する場合に、その含み益に対して課税される制度です(2015年7月〜)。判定は資産の所在地を問わず合計額で行います。

対象者

  • ✓対象資産の合計が1億円以上の方
  • ✓出国前10年以内に、国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年を超える方

対象になる資産

  • ✓有価証券(株式・投資信託・国債・社債など)
  • ✓匿名組合契約の出資の持分
  • ✓未決済の信用取引・発行日取引
  • ✓未決済のデリバティブ取引

暗号資産(仮想通貨)は対象資産に含まれません。国税庁の令和8年4月1日現在の記載でも含まれておらず、令和8年度税制改正大綱では暗号資産の譲渡益を20%の分離課税とする方針が示されましたが、出国税の対象に加える内容は含まれていません(2026年9月時点)。今後の改正で扱いが変わる可能性はあるため、出国前に最新の情報を確認してください。

税率と計算方法

出国時点の時価で含み益を計算し、株式等の場合は所得税と復興特別所得税を合わせた15.315%が申告分離課税で課されます(匿名組合契約の出資持分は総合課税になることがあります)。住民税の計算では国外転出時課税のみなし譲渡の規定を適用しないと地方税法で定められているため(地方税法第32条第2項ただし書・第313条第2項)、住民税分の5%は課されません。

評価の時点は手続きの順序で変わります。確定申告の時までに納税管理人の届出をした場合と、届出をせずに出国した後で確定申告をする場合は国外転出時の価額、届出をしないで出国前に準確定申告をする場合は国外転出予定日の3か月前の日の価額で譲渡があったものとみなされます(所得税法第60条の2第1項)。相場が動く局面では税額に直結するので、届出のタイミングは意識しておく必要があります。

納税猶予の制度

出国時と申告時に次の要件をすべて満たすと、国外転出の日から5年間、納税を猶予できます(延長の届出により最長10年)。

  • ✓国外転出の時までに、所轄税務署へ納税管理人の届出をすること
  • ✓確定申告書に、納税猶予の特例の適用を受けようとする旨を記載すること
  • ✓確定申告書に、対象資産の明細書や納税猶予分の計算書などの書類を添付すること
  • ✓確定申告書の提出期限までに、猶予される所得税額と利子税額に相当する担保を提供すること

猶予は出国時の手続きだけでは続きません。猶予期間中は、各年12月31日に所有している対象資産について継続適用届出書を翌年3月15日までに提出する必要があります。提出しないと、その期限から4か月を経過する日に猶予が打ち切られ、納付を求められます。

帰国した場合

国外転出の日から5年以内(納税猶予の期限延長を受けている場合は10年以内)に帰国し、対象資産を持ち続けている場合は課税を取り消せます。納税猶予を使わずに納付した方も対象で、還付を受けられます。ただし自動ではなく、帰国の日から4か月以内に更正の請求または修正申告をする必要があります。

シンガポール移住の場合、出国税はどうなるか

シンガポールには譲渡益に対する課税がありません。そのため出国税を払ったあとに現地で株式を売却しても、シンガポール側で課税されることはありません。

ここで誤解しやすいのが、これは二重課税が調整される話ではないという点です。相手国に納めた税が存在しないため、外国税額控除で取り戻す対象がありません。帰国による取消しや、猶予期間中に値下がりして売却した場合の減額といった制度上の救済を除けば、この負担は移住コストとして確定します。シンガポールの税メリットを見込んで移住を決める場合、この一度きりの負担を織り込んでおく必要があります。

出国時の時価で課税関係が区切られる

出国税は出国時点の含み益に課税し、その時価がその後の取得価額になります。つまり出国後の値上がり分は日本の課税対象から外れます。移住の前後で課税関係を区切ること自体が、この制度の役割です。

申告の期限は納税管理人の届出で変わる

納税管理人の届出をしている場合は、国外転出をした年分の確定申告期限までに、この制度による所得を含めて確定申告と納税をします。届出をしていない場合は、国外転出の時までに準確定申告と納税を済ませる必要があります。出国直前は引越しやビザの手続きが重なるため、届出をしておくほうが実務上は進めやすくなります。納税猶予を使う場合はいずれにせよ届出が必要です。

自社株を持つ場合、出国後も日本の課税が残ることがある

出国税を払えば以後の譲渡が日本と無関係になるわけではありません。非居住者であっても、事業譲渡類似の株式譲渡に当たる場合は日本で課税されます。 要件は、譲渡年以前3年以内のいずれかの時に特殊関係株主等が発行済株式の25%以上を保有していたことと、譲渡年に5%以上を譲渡したことの両方です。 オーナー経営者が移住後に自社株を売却する場面が典型で、読者の多くが該当しうる論点です。日星租税協定はこの事業譲渡類似の株式譲渡について日本の課税権を残しているため(第13条4(b))、シンガポールに移住しても条約による救済は期待できません。税率は非居住者の申告分離課税で15.315%(住民税なし)です。保有割合と譲渡計画は事前に税理士へ確認してください。

要確認

出国税の取り扱いは個人の状況(資産の種類・金額・家族構成など)によって大きく異なります。必ず出発前に税理士に相談することを強くおすすめします。本記事は概要の説明であり、税務アドバイスではありません。

移住前後の税務の手順を時系列で確認する

出国前に済ませることと着任後にやることを、家族構成と目的に合わせて一覧にします。質問は5つ、登録なしで使えます。

移住ロードマップを作る

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