ホーム渡航・現地手続きシンガポールに住む日本人の身分証。NRICとFINの違い
移住後の手続き 2026-09 更新

シンガポールに住む日本人の身分証。NRICとFINの違い

NRICは市民と永住権保持者だけのものです。就労ビザで移住した日本人が受け取るのはFINという番号とパスカードで、取得の窓口も費用も別になります。

本記事は2026年9月時点のICA(ica.gov.sg)・MOM(mom.gov.sg)・PDPC(pdpc.gov.sg)の公開情報に基づく参考情報です。費用と手続きは改定されることがあります。申請前に各機関の公式サイトでご確認ください。

シンガポールで身分証を指す言葉として最もよく使われるのがNRICです。ただし就労ビザで移住した日本人はNRICを受け取りません。受け取るのはFINという識別番号と、ビザの種類に応じたカードです。日本語の情報ではこの2つがしばしば混同されていて、EPでもNRICがもらえると書かれていることがあります。

NRICを持つのは市民と永住権保持者だけ

NRIC(National Registration Identity Card)は国民登録法に基づく身分証で、シンガポール市民と永住権(PR)保持者が15歳になった時点で、16歳の誕生日までに登録する義務を負います。EP、S Pass、Work Permit、DP、LTVPの保有者には交付されません。

券面の色で区分が分かります。市民はピンク、永住権保持者はブルーで、この色分けは1969年の国民登録規則の改正で定められました。永住権保持者のカードは裏面に国籍が記載される点でも区別できます。

在留資格識別番号受け取るもの発給元
シンガポール市民NRIC番号NRIC(ピンク)ICA
永住権(PR)NRIC番号NRIC(ブルー)ICA
EP・ONE Pass・PEPFINパスカード(物理)MOM
S Pass・Work PermitFINパスカード(物理)MOM
DP(家族)FINパスカード(物理)MOM
LTVP・Student's PassFINデジタルパスのみICA

2023年2月27日から、ICAが発給する長期パス(LTVPとStudent's Pass)は物理カードの発行を終了し、デジタルパスのみの交付になりました。MyICAアプリ、FileSG、Singpassアプリで表示します。それ以前に発行されたカードは有効期限まで使えます。物理カードが今も出るのは、MOMが発給するEP、S Pass、DPなどです。

NRIC番号とFINの書式

どちらも英字1文字、数字7桁、チェック用の英字1文字という同じ形式です。先頭の英字で系列が分かれます。NRIC番号はSまたはT、FINはF、G、Mのいずれかで始まります。

2022年1月1日以降に新規発給されるFINはMから始まります。それ以前に発給されたFシリーズとGシリーズの番号は変更されていません。全員のFINがMに変わったという説明を見かけますが、切り替わったのは新規発給分だけです。

EPのパスカードを受け取るまで

申請が通るとIPA(In-Principle Approval、原則承認)レターが発行されます。IPAは単数回入国用の事前承認ビザを兼ねていて、入国とパス発給の手続きに6か月の期間が与えられます。

入国後、雇用主がパスの発給手続きを行うと通知書(notification letter)が発行されます。この通知書は1か月間有効で、物理カードが届く前でも就労と出入国に使えます。指紋と写真の登録が必要かどうかも、この通知書に書かれています。手続きに時間がかかる場合、雇用主が有効期限の延長を申請できます。

登録が必要とされた場合は、パス発給から2週間以内にEmployment Pass Services Centreで済ませます。所在地はThe Riverwalk, 20 Upper Circular Road #04-01/02で、受付は平日8時から17時30分、完全予約制です。持ち物はパスポート原本、予約レター、通知書に加えて、SingpassアプリとSGWorkPassアプリを入れたスマートフォンです。

カードは登録または書類確認の完了から5営業日以内に、指定した住所へ配送されます。

ONE Pass保有者は窓口に行かなくてよい場合がある

ONE Pass(Overseas Networks & Expertise Pass)保有者は、Singpassアカウントがあればオンラインのeサービス上で書類提出と支払いまで完結できます。窓口の予約が要るのはSingpassがない場合だけです。

費用

項目EPDP
申請料S$105S$105
発給料S$225S$225
Multiple Journey Visa(必要な場合)S$30S$30

申請料だけで済むと書かれた記事がありますが、発給料S$225は別にかかります。当局はS$建てでしか金額を定めていないため、円換算は為替次第です。

家族(DP)の場合

費用はEPと同額です。異なるのはIPAの有効期間で、EP保有者の家族は6か月、S Pass保有者の家族は2か月しかありません。渡航時期を決めるときに効いてくる差です。指紋と写真の登録期限も、EP保有者の家族が2週間以内、S Pass保有者の家族が1週間以内と分かれています。

有効なDPがあれば、全日制の非宗教課程についてはStudent's Passを取らずに就学できます。必要になるのは宗教学校で学ぶ場合と、就学中にDPが満了する場合だけです。

DPでの就労にLOCは使えなくなった

被雇用者向けのLetter of Consent(LOC)は2021年5月1日に廃止されています。現在DP保有者が雇われて働くには、雇用主がEP、S Pass、DP-Work Permitのいずれかを申請する必要があります。例外はONE Pass保有者の配偶者で、この場合だけは今もLOCで就労できます。詳しくは DP(Dependant's Pass) をご覧ください。

永住権を取得した場合のNRIC

永住権の申請そのものに1人あたりS$100の申請料がかかります。承認後の完了手続きで払う費用はこれとは別です。

項目金額
PR申請料(申請時)S$100
Entry PermitS$20
Re-Entry Permit(5年)S$50
Identity CardS$50

いずれも不承認や取りやめでも返金されません。完了手続きの期限はIPAレターに個別に記載されます。2024年6月26日以降に提出した申請については、ICAのeサービスから期限の延長を申請できます。

NRICは郵送されません。予約を取って本人が受け取ります。窓口はICA Services Centre(2 Crawford Street, Level 2、平日8時から16時30分)か、指定のSingPost郵便局です。実際には8割ほどが郵便局での受け取りを選んでいます。郵便局で受け取る場合、予約日から4日間の受取期間があり、逃すと予約を取り直すことになります。

承認から3か月以内に受け取らなかったカードは廃棄されます。支払った手数料は戻らず、取り直すにはS$60の再発行料が別にかかります。

紛失と破損

状況NRICEPなどのパスカード
紛失(初回)S$100S$109
紛失(2回目以降)S$300S$327
破損S$60S$65.40
申請期限届出から14日以内発生から1週間以内
警察への届出不要盗難の場合は必要
受け取り承認から3か月以内に窓口承認から4営業日後にEPSCで受け取り

NRICの紛失で警察への届出が必要と書かれていることがありますが、ICAは不要と明記しています。必要なのはパスカードが盗難された場合です。パスカードの再発行は、初回発給時と違って配送ではなく窓口での受け取りになります。

氏名など記載事項が変わった場合の再発行はS$60で、14日という期限は定められていません。処理はいずれも7営業日です。

住所変更は28日以内。罰則がある

国民登録法により、新しい住居に入居してから28日以内に住所変更を届け出る義務があります。怠るとS$5,000以下の罰金または5年以下の禁錮、またはその併科の対象です。市民と永住権保持者は海外在住であっても対象になります。

30歳と55歳の再登録

市民と永住権保持者は、30歳(31歳の誕生日まで)と55歳(56歳の誕生日まで)にICの再登録をします。手数料は市民がS$10、永住権保持者がS$50です。ICAからのデジタル通知を受け取ってから1年以内に手続きします。

直近10年以内に何らかの理由でICの再発行を受けている場合は対象外です。この条件を落として説明している記事が多く、不要な手続きに行くことになります。

出国するとき

EPを取り消すときは、通知期間の最終日から1週間以内に手続きします。最終出勤日と一致しないことがある点に注意してください。取消は最終日の14日前から事前申請できます。カードはMOMに返却するのではなく、雇用主が半分に切断して廃棄します。空港で返すという説明は現行の運用と違います。

永住権を放棄した場合は、承認の通知レターを受け取ってから14日以内に、在外公館または書留郵便でICAへIdentity Cardを返却する義務があります。紛失している場合は宣誓供述書か警察への届出書を代わりに提出します。

SingpassとDigital IC

Singpassは15歳以上の市民、永住権保持者、FIN保有者が登録できます。IDの初期値はNRIC番号またはFINですが、ログイン後に任意のIDへ変更できます。

FIN保有者のアカウントは、パスの失効または取消の日から3か月間は有効で、その後に無効化されます。出国後に税務手続きが残る場合は、IRASが提供するSingpass Foreign user Accountという別枠があります。

SingpassアプリのDigital ICは、2021年11月1日から全政府機関が対面手続きの本人確認手段として受け入れています。表示されるのは氏名、顔写真、生年月日、性別、国籍、登録住所、パスの種別と有効期限などです。NRIC番号とFINは既定でマスクされていて、全項目を見るには生体認証やパスコードによる本人認証が必要です。

物理カードを完全に置き換えるものではありません。婚姻登録やホテルのチェックインなど、法令が物理書類を求める場面では現物が要ります。

NRIC番号を他人に教えてよいのか

個人情報保護委員会(PDPC)が2018年8月31日に発行したAdvisory Guidelinesは、民間企業がNRIC番号やNRICのコピーを収集、利用、開示することを原則として認めていません。許されるのは法令で求められる場合か、高い確実性で本人確認が必要な場合に限られます。この扱いはFIN、Work Permit番号、パスポート番号にも及びます。全組織への適用開始は2019年9月1日です。

物理のNRICを預かって保持することも、法令上の要請がない限り認められていません。レンタル品の担保として身分証を預かる運用や、来訪者バッジと引き換えに預かる運用は不可とされています。賃貸の内見や施設の入館で身分証を預けるよう言われたときの判断材料になります。

2024年12月に方針が変わりました。政府は、NRIC番号は氏名と同じ識別子であって秘密ではなく、問題は番号を認証手段として使うことにあるという立場を示しています。民間企業は2026年12月31日までにNRIC番号を認証手段やデフォルトパスワードとして使う運用を廃止する必要があり、2027年1月1日からPDPCが是正命令や課徴金を含む取締りを強化します。

2018年版のガイドラインは、この方針転換を踏まえて改訂されることがPDF表紙に明記されています。改訂までは現行版が有効です。なお個人情報保護法のデータ保護規定は公的機関には適用されないため、民間の収集制限と違って政府機関は通常どおり番号を収集します。

日本語の情報でよく間違っているところ

  • ✓EP保有者にもNRICが発行される。交付されるのは市民と永住権保持者だけです。EP保有者に付くのはFINで、券面はEmployment Passカードになります。
  • ✓パスカードに書かれた番号がNRIC番号。カードとDigital ICに表示されるのはFINで、別系統の識別子です。
  • ✓DPやLTVPもカードが交付される。ICA発給のLTVPとStudent's Passは2023年2月27日に物理カードを廃止しました。カードが出るのはMOM発給のパスです。
  • ✓PR承認後、NRICが自宅に郵送される。予約を取って本人が窓口で受け取ります。3か月放置すると廃棄されます。
  • ✓NRIC紛失時は警察への届出が必要。ICAは不要と明記しています。警察届が要るのはパスカードの盗難です。
  • ✓NRIC番号の収集は2022年に禁止された。ガイドラインの発行は2018年8月31日、全面適用は2019年9月1日です。

関連する手続き

FINが分かれば、銀行口座の開設に着手できます。銀行によってはパスカードの現物がなくてもIPAレターで申し込めます。詳しくは 銀行口座を開設する をご覧ください。携帯電話の契約については SIMカードを契約する にまとめています。永住権の申請条件は 永住権(PR) をご覧ください。

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