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移住後の手続き 2026-09 更新

シンガポールで銀行口座を開設する(個人)

地場3行の条件を横並びで比較し、必要書類と開設のタイミングを整理します。最低残高と手数料は口座の種類ごとに大きく違います。

本記事は2026年9月時点の各行公式サイトおよびMAS・IRAS・SDICの公開情報に基づく参考情報です。口座の条件と手数料は改定が頻繁で、審査基準は各行が公表していません。申込前に各行の公式サイトでご確認ください。特定の金融商品を勧めるものではありません。

日本語の情報では、シンガポールの銀行はどこも最低残高S$3,000で、下回ると罰金がかかると書かれていることが多くあります。これは口座の種類を取り違えた説明です。DBSとPOSBのMy Accountには最低残高の設定自体がなく、下回っても手数料はかかりません。S$3,000という数字は一部の口座の基準であって、口座一般の基準ではありません。

地場3行の条件

DBS・POSB My AccountOCBC 360 AccountUOB One Account
最低初回入金なしS$1,000S$1,000
最低残高なし月間平均 S$3,000月間平均 S$1,000
下回った場合なし月S$2(初年度免除)月S$5
口座維持手数料紙明細を選んだ場合のみ月S$2なしなし
来店不要(アプリで完結)必要(既存顧客を除く)必要
年齢16歳以上18歳以上18歳以上
6か月以内の解約要確認S$30S$30

DBSとPOSBのMy Accountは紙の明細を選んだ場合だけ月S$2がかかります。電子明細に登録すれば無料です。16歳以下の顧客も免除されます。

月間平均S$3,000が基準になるのは、DBS MultiplierとOCBC 360です。DBSのeMulti-Currency AutosaveとCurrent Accountは、S$3,000を下回ると月S$7.50とさらに高くなります。口座名で条件がまったく変わるので、商品名まで確認してから申し込んでください。

アプリで完結するのはDBSとPOSBだけ

3行ともスマートフォンで開設できると書かれていることがありますが、実際にアプリ完結が可能なのはDBSとPOSBだけです。OCBCは既存のOCBC商品を持たない外国人に支店来店を求めます。UOBは外国人全般に来店を求め、しかも原本のみを受け付けます。コピーや画像データは受理されません。渡星時に原本を持参する必要があります。

Singpassがあると開設が早い

Singpassは15歳以上のFIN保有者が登録できます。EP、ONE Pass、PEP、EntrePass、S Pass、DP、LTVP、Student's Passのいずれでも対象です。DBSはSingpassとMyInfoの連携でアプリから申し込めます。新規に取得したSingpassのプロフィールが申込に使えるようになるのは登録の翌日からです。FINの取得については NRICとFINの違い をご覧ください。

必要書類

DBSが公表している書類は次のとおりです。他行もおおむね同じ構成ですが、認められる書類の範囲は行ごとに違います。

  • ✓パスポートの身分事項ページ
  • ✓有効なパス(EP、S Pass、Student's Pass、Dependant's Pass、Long Term Visit Pass)
  • ✓住所証明
  • ✓税務上の居住地の証明

DBSが住所証明として認めるのは、雇用証明書、学校の証明書、印紙税証明書、シンガポールの公共料金または通信料金の請求書、シンガポールの銀行明細またはカード明細、MOMもしくはICAのIPAレター、外国人家事労働者のWork Permitです。

OCBCが認める住所証明は携帯電話料金の請求書、半年ごとのCPF明細、銀行明細です。UOBは最新の電話または公共料金の請求書か銀行明細に加えて、残存有効期間が6か月以上ある第2の身分証を求めます。

パスカードが届く前でも申し込める

DBSはMOMまたはICAのIPA(原則承認)レターでの申込を受け付けます。入国直後でカードが手元になくても着手できます。ただし1通のIPAでパスの証明と住所証明の両方を兼ねることは認められていません。どちらか一方に使い、もう一方は別の書類を用意します。

どのパスが対象かは行によって書き方が違う

DBSの外国人向けページが挙げるのはEP、S Pass、Student's Pass、IPAだけですが、必要書類のページにはDependant's PassとLong Term Visit Passも有効なパスとして載っています。OCBC 360の商品ページはEP、S Pass、Student's Passのみで、Dependant's Passが入っていません。外国人向けページでDependant's Passを明示しているのは3行のうちUOBだけです。

ONE Passについては、3行とも受入パスの一覧に名指ししていません。開設できないという意味ではありませんが、公式情報では確認できないため事前に問い合わせてください。

開設にかかる日数

DBSはデビットカードを口座承認後3営業日から5営業日で郵送すると明記しています。承認そのものに要する日数を、日本人を含む外国人全般について公表している行はありません。カードが手元に届くまでは日数を見ておいたほうが安全です。

OCBCとUOBについては、支店で開設した当日にデビットカードが出るのか、オンラインバンキングの有効化に何日かかるのかを示す公式な数値が見つかりませんでした。

多通貨口座と日本円

商品通貨数日本円の条件注意点
DBS・POSB My Account13(外貨12)内蔵ウォレットで保有可追加の口座開設が不要
OCBC Global Savings Account10最低初回入金 JPY500,000日本円は無利息
UOB FX+10最低残高なしSGD口座への紐付けが必須
UOB Global Currency Account複数初回入金と最低残高 JPY150,000下回るとJPY1,500

OCBC Global Savings Accountは口座管理手数料も最低残高割れの手数料もゼロですが、日本円は最低初回入金がJPY500,000と高く、しかも利息が付きません。OCBCは現在、CAD、CHF、EUR、GBP、JPY、HKDに利息を付けないと明記しています。利息が付くのはAUD、NZD、USD、CNHだけです。手数料ゼロという点だけを見て置いておくと増えると考えないでください。

UOBには多通貨の商品が2つあり、混同されがちです。日本円を少額だけ持ちたい場合、最低残高のないFX+のほうが条件が緩くなります。FX+の外貨残高はSGD換算で紐付け先のSGD口座の最低残高判定に合算されるため、One Accountの月平均S$1,000をFX+の残高で満たして月S$5を避けることもできます。

UOB Mighty FXという名称で紹介されていることがありますが、2024年10月にUOB FX+へ改称済みで、その名前の商品はもう存在しません。同じくDBSのExpatriate Accountも現在は提供されていません。DBSの公式ガイドはExpatriate系の口座すべてに提供終了と明記していて、外国人専用口座というカテゴリは今のDBSにありません。

外資系銀行

銀行口座・区分基準額下回った場合
Citibank全区分共通月間平均TRB S$15,000月S$15
CitibankCiti PriorityAUM S$70,000区分の維持条件
CitibankCitigoldAUM S$250,000区分の維持条件
HSBCEveryday Global Account前月の平均日次残高 SGD2,000月SGD5
HSBCPremierTRB SGD200,000区分の維持条件
Standard CharteredBonus$aver平均日次残高 S$3,000月S$5
Standard CharteredPriority Banking適格運用資産 S$200,000区分の維持条件

CitibankのS$15,000は口座サービス料の免除ラインで、区分への入会基準とは別です。S$15,000でCitigoldになれるわけではありません。開設から6か月以内に解約するとS$50がかかります。

Citibankはアジアとヨーロッパの13市場で個人業務から撤退しましたが、シンガポールは残した4つのウェルスハブの一つで、個人口座は継続しています。ただし取引型の支店は2024年10月12日のJurong East支店閉鎖でゼロになり、ATMと入金機も2026年後半にかけて撤去が進んでいます。対面の窓口が一切ないわけではなく、Orchard RoadのCiti Wealth Hub、Parkway Parade、One Holland Villageのウェルスセンターで共同名義口座の開設や解約などに対応しています。

HSBC Premierは、Total Relationship BalanceがSGD200,000以上あるか、他の国や地域でPremier資格を持っていれば申し込めます。後者は各国の規約に従うもので、資格が自動的に引き継がれるわけではありません。

Standard CharteredのBonus$averは、ボーナス金利の対象となる取引がすべてSGD建てです。支出の中心が外貨になる場合、条件を満たしにくくなります。

日本の窓口を経由する紹介ルートは存在しない

日本のシティバンク銀行の個人業務は2015年11月1日にSMBC信託銀行へ移り、PRESTIAになりました。現在のPRESTIAとCitiグループの間に資本関係はなく、シンガポールのCitibankとは別の銀行です。HSBCも日本で新規の個人向け銀行業務を行っておらず、海外のHSBC個人口座保有者向けのサービスも提供しないと明記しています。日本の店舗でシンガポールの口座を紹介してもらうという経路は、どちらの銀行にもありません。

渡星前に開設できるか

入国前にオンラインで開けると一般化されていますが、日本在住者に使える確実な経路は限られます。

  • ✓OCBCの海外オンライン開設:対象は香港、マレーシア、インドネシア、中国本土のeパスポート保有者に限られ、日本のパスポートは対象外です。
  • ✓HSBCのEasyID:30を超える国と地域の新規顧客が渡星前に開設できるとされていますが、対象国のリストが公開されておらず、日本が含まれるかを示す公式記述は見つかりません。HSBCのアプリ経由の開設は、外国人については有効なFINを持ちシンガポールに居住していることが条件と明記されています。
  • ✓Citi International Personal Bank Singapore:非居住者でも開設できると公式サイトが明記しています。要件は18歳以上と、新規資金でUS$200,000の運用資産です。月額のサービス手数料は現在公開されていないため、金額はCitiへの直接確認が必要です。
  • ✓デジタルバンク:いずれもSingpassが前提です。FINの発給後でないと開設できません。

DBSはIPAレターで申し込めるため、入国直後から着手できます。日本にいる段階で完結できるかは公式に示されていません。

デジタルバンク

MASのデジタルバンクライセンスは4社に交付されています。デジタルフルバンクがGXS BankとMariBank、デジタルホールセールバンクがANEXT BankとGreen Link Digital Bankです。ANEXTは中小企業専業で個人口座を扱いません。MASは新規のライセンスを発行していません。

Trust Bankはデジタルバンクの一つとして紹介されることが多いのですが、MASの金融機関ディレクトリ上はFull Bankです。最低残高、月額サービス手数料、口座解約手数料はいずれもゼロで、条件はシンガポールに居住していることとスマートフォンを持っていることだけです。

MariBankのMari Savings Accountは、市民と永住権保持者に加えて有効なパスを持つ外国人も16歳以上であれば申し込めます。市民と永住権保持者しか作れないという説明は誤りです。ただし申込の前にSingpassへシンガポールの居住住所を登録しておく必要があるため、パスを取った直後で住所が未登録の段階では申し込めません。最低預入額と最低残高割れの手数料はゼロです。金利は2026年5月1日時点で年0.88%まで下がっています。過去の記事にある2.5%前後の数字をそのまま当てにしないでください。

GXS Savings Accountは16歳以上でMyinfoの利用に同意することが条件で、1人が持てる個人名義の口座は1つです。クレジットカードのGXS FlexiCardは21歳から55歳の市民と永住権保持者に限られます。

WiseとRevolutは銀行口座の代わりにならない

どちらもMASの登録上はMajor Payment Institutionで、銀行ではありません。残高は預金保険の対象外で、信託口座で分別管理されているだけです。

項目WiseRevolut
個人の残高上限20,000 SGD1日の終わりに 19,800 SGD
受取可能FAST、PayNowFAST
受取不可GIRO、MEPS、SWIFT、現金入金GIROを使う給与振込
預金保険対象外対象外

給与の受取に使えないのが実務上の決め手です。雇用主の多くはGIROを使うため、給与の振込先にはフルバンクの口座が要ります。Revolutには残高上限とは別に、自分名義の外部口座への送金を除いた年間の送出額に上限があり、こちらのほうが制約になりやすい設計です。上限を超える入金は、連携済みの外部口座へ自動送金されます。外部口座を登録していないと超過分の入金自体を受けられません。

預金保険とCPF

シンガポールドル建ての預金は、1金融機関につき1預金者あたりS$100,000まで保護されます。この上限は2024年4月1日にS$75,000から引き上げられました。対象はフルバンクとファイナンスカンパニーのSGD預金だけで、外貨預金、仕組預金、投資商品は対象外です。多通貨口座に置いた外貨は保護されません。

CPFの拠出対象は月S$50を超えて稼ぐ市民と永住権保持者だけです。EPなどのパスで働く外国人は拠出が認められていません。将来CPFを受け取れるという説明は誤りです。

審査が厳しくなっている背景

外国人の口座開設が通りにくいという声には、公的な背景があります。2023年8月にS$30億規模の資金洗浄事件が発覚し、MASは2025年7月4日、マネーロンダリング対策の要件違反があったとして9つの金融機関に合計S$27.45百万の課徴金を科しました。顧客リスク評価、資金の出所の確認、疑わしい取引のモニタリングの不備が指摘されています。政府の省庁横断委員会も2024年10月4日に体制強化の提言書を公表しました。

各行とも謝絶の基準を公表していません。確認できた数値の要件はUOBの第2身分証の残存有効期間6か月以上だけで、UOBは理由を示さずに申込を謝絶する裁量を留保すると明記しています。パスの残存期間による線引きは公開情報では分かりません。

子ども名義の口座

OCBC Mighty Saversは16歳未満の子と親の共同名義で、EP、S Pass、DP、LTVPを持つ親でも支店で開設できます。初回入金も最低残高も不要です。UOB Junior Savers Accountは最低初回入金S$500で、平均日次残高がS$500を下回ると月S$2がかかります。

日本の税務当局への報告と、日本の口座

シンガポールの金融機関は、共通報告基準(CRS)に基づいて報告対象口座の情報を翌年5月31日までにIRASへ提出します。シンガポールは2017年分を対象に2018年9月から相手国との情報交換を開始していて、日本は当局間合意を締結した交換相手に含まれます。報告される情報には、氏名、住所、居住地国、納税者番号、口座残高に加えて、利子や配当などの支払総額が含まれます。5月31日は金融機関側の申告期限で、口座保有者が何かを提出する期限ではありません。個人が関わるのは開設時の自己証明の提出です。

日本側では、外為法の解釈通達により、外国にある事務所に勤務する目的で出国して外国に滞在する者、または2年以上外国に滞在する目的で出国して外国に滞在する者は非居住者として扱われます。一時帰国しても滞在が6か月未満であれば非居住者の扱いが続きます。非居住者となった後の口座の扱いは各行の内規によって分かれるため、出国前に取引店へ確認してください。

外為法の非居住者と、税務上の非居住者は別

銀行口座の扱いを決めるのは外為法上の居住者判定で、所得税の課税範囲を決める所得税法上の判定とは別の基準です。税務上の居住者判定については 日本の居住者・非居住者の判定 をご覧ください。

PayNow

DBSとPOSBは、銀行側にFINを登録済みであればFINをPayNowのプロキシとして登録できると明記しています。OCBCとUOBについては公式ページに記載が見つからないため、窓口で確認してください。

法人口座をお探しの方へ

会社設立に伴う法人口座は、必要書類も審査も個人口座とは別です。詳しくは 法人銀行口座の開設 をご覧ください。

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