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ステップ解説 2026-09 更新

設立手続きのステップ

ACRAの実費S$315と実際の所要日数、最低構成、2025年から必要になったCSP経由の申請、自分の会社でEPを取れるかまで。

本記事の情報は参考目的です。制度は変更される場合があります。最新情報はACRA(会計企業規制庁)・IRAS(内国歳入庁)の公式サイトでご確認ください。

日本語の情報では、シンガポールの会社設立は1営業日から3営業日で終わると書かれていることが多くあります。ACRAの案内はそうなっていません。支払い後すぐ承認されることが多いとしたうえで、複雑な申請は最大15営業日、他省庁への照会が入る場合は14日から60日かかると明記しています。社名の審査にも最大3営業日、照会が入れば最大15営業日かかります。実際の所要日数はこの合計です。

当局に払う費用

項目金額備考
社名申請S$15却下されても取り下げても返金されない
設立登記S$300
合計S$315ACRAに払う実費はこれだけ

承認された社名は120日間confirmされます。この期間内に登記を完了しないと解放され、他社が使えるようになります。

設立の流れ

1

社名を申請する

ACRAのBizfileで申請します。S$15。既存の名称と同一、公序良俗に反する、政府機関に類似する、法令で保護された語を含む場合は却下されます。名称やSSICコードによっては他省庁への照会が入り、法律関係はMinLaw、銀行や金融はMAS、教育機関はMOE、建築士はBoard of Architectsが審査します。

2

定款を用意する

ACRAのモデル定款をそのまま使うか、独自の定款を提出します。

3

登記を申請する

S$300。CSPが提出した場合を除き、すべての役員と株主が60日以内に電子署名しないと申請は成立しません。

4

UENとBusiness Profileを受け取る

登記が完了すると、Bizfileの受信箱に設立通知、政府手続きで使うUEN、無料のBusiness Profileのダウンロードリンクが届きます。後から買う場合はS$5.50です。

5

Company Secretaryを選任する

登記から6か月以内。自然人であることが必要で、取締役が1名だけの会社ではその取締役が兼任できません。6か月を超えて空席にすると取締役に最大S$1,000の罰金が科されることがあります。

6

監査人を選任する

監査免除の対象でない場合は設立から3か月以内に選任します。

7

法人銀行口座を開設する

署名権者と取締役の過半数がシンガポールで書類に署名する必要があります。銀行によっては海外支店や公証人の面前での署名を認めます。

8

GST登録の要否を確認する

課税売上が暦年末時点でS$100万を超えた場合は翌年1月1日から30日以内に申請します。今後12か月でS$100万を超える見込みが立った場合も申請が必要です。税率は9%です。

最低限そろえるもの

項目要件
取締役最低1名。うち1名はシンガポールに常居所を有すること
株主1名から50名。個人でも法人でもよく、国籍は問わない
資本金最低S$1、1株から。払込済額が発行済額を超えることはできない
Company Secretary登記から6か月以内に選任。自然人
登記住所シンガポール国内の実在する住所。私書箱は不可

株主を20名以下にして法人株主を入れなければ、Exempt Private Company(EPC)になります。EPCは支払能力があれば財務諸表をACRAに提出しなくてよくなります。法人株主を1社でも入れるとEPCには該当しません。

外国人は登録CSPを通す必要がある

2025年の制度変更により、外国人がシンガポールで事業体を設立する場合、社名の申請と登記をCorporate Service Provider(CSP)に依頼しなければなりません。自分でBizfileから直接申請することはできません。設立のためにシンガポールへ移住する必要はありませんが、現地で事業を運営するなら就労パスが要ります。

登記住所と自宅の利用

登記住所には、各営業日の通常の営業時間内に最低3時間、法的書類を受け取れる状態で公衆に開放する義務があります。違反は最大S$5,000の罰金です。

自宅を使う場合はHome Office Schemeへの登録が必要です。民間住宅はURA、HDB住宅はHDBが所管します。業務は管理事務に限られ、住み込みでない従業員や取締役は合計2名までしか置けず、顧客や取引先の来訪は認められません。

実質的支配者の登録

実質的支配者登録簿(Register of Registrable Controllers)は、会社が登記されたのと同じ日に作成する義務があります。2025年6月16日以降に登記する会社は、Bizfileでの登記手続きの中でこの情報をACRAの中央登録簿に提出します。

registrable controllerに当たるのは、株式または議決権の25%超を保有する者と、取締役の過半数を任免できるなど実質的な支配を及ぼす者です。取締役だからといって自動的に該当するわけではありません。情報に変更があったときは社内の登録簿を7日以内に更新し、その後2営業日以内にACRAへ提出します。

自分の会社でEPを取れるか

日本人読者にとって最大の問いですが、MOMはこの形態について可否も条件も公表していません。公表されているのは、EPの申請を提出するのが雇用主または指定した雇用代理人であるという手続き上の定めだけです。自分の会社が雇用主として申請すること自体を禁じる記述はありません。

MOMが必要書類として挙げているのは、候補者のパスポートの個人情報ページ、ACRA登記のBusiness Profile、学歴の検証証明などです。払込資本金、事務所、事業計画、雇用実績についての数値基準は一切示されていません。就労ビザを取るには資本金S$100,000程度が必要という記述をよく見かけますが、MOMの公表要件にそのような額はありません。

審査の構造は計算できます。EPは資格給与とCOMPASSの40点の二段階で、COMPASSは社内のPMETが25人未満の会社ならC3の多様性とC4の現地雇用比率が自動的に各10点になります。ここに学位で10点、給与が同業種同年齢の現地PMETの65パーセンタイル以上で10点を足すと、計算上は新設の一人会社でも40点に届きます。PMETの数え方は、外国人が就労パス申請で申告した固定月給S$3,300以上の人、現地従業員がCPF拠出対象賃金で月S$3,300以上の人です。

資格給与は2026年9月時点で一般業種S$5,600、金融サービス業S$6,200で、年齢とともに上がります。2027年1月1日以降の新規申請からはS$6,000とS$6,600です。詳しくは シンガポールのビザの種類 をご覧ください。

求人掲載の義務が免除される場合

EP申請の前にMyCareersFutureへ14日連続で求人を掲載する義務がありますが、従業員10人未満の会社、固定月給S$22,500以上の職、期間1か月以内の職、企業内転勤で埋める職は免除されます。新設の小規模な会社はこの免除に当たります。

設立代行の費用について

代行業者の料金は当局が定めたものではありません。業者の提示額であり、内容も範囲も業者によって違います。ACRAに払う実費はS$315だけで、これ以外の金額はすべて民間のサービス料です。見積もりを比べるときは、社名申請と登記の実費、Company Secretaryの年間費用、登記住所の提供、居住取締役の手配が、それぞれ含まれているかを分けて確認してください。

最初の1年で来る期限

やること期限
Company Secretaryの選任登記から6か月以内
監査人の選任(免除対象外の場合)設立から3か月以内
設立初年度の財務年度登記官の承認がなければ18か月を超えられない
ECI(見積課税所得)の提出決算期末から3か月以内
AGM(非上場会社)決算期末後6か月以内
Annual Returnの提出決算期末後7か月以内
法人税申告(Form C-S等)YA2026分は2026年11月30日まで

ECIは年間revenueがS$5 million以下かつECIがゼロであれば提出が免除されます。片方だけでは免除されません。会社の自己判定で、IRASへの届出は不要です。

AGMについては、非上場会社は決算期末後5か月以内に財務諸表を全株主へ送付すれば開催義務を免れます。ただし株主が期限の14日前までに開催を請求した場合は開催しなければなりません。かつてあった「初回AGMは設立から18か月以内」という規定は、2018年8月31日以降に終了する決算期には適用されません。

日本語の情報でよく間違っているところ

  • ✓1営業日から3営業日で設立が完了する。ACRAは複雑な申請で最大15営業日、照会が入ると14日から60日と示しています。
  • ✓外国人でも自分でBizfileから申請できる。2025年から、外国人は登録CSP経由でしか社名申請と登記ができません。
  • ✓就労ビザを取るには資本金S$100,000が必要。MOMの公表要件に資本金の額はありません。
  • ✓実質的支配者は議決権5%以上の株主。25%超が基準です。5%は年次通知の送付先の基準で、別の話です。
  • ✓初回のAGMは設立から18か月以内。この規定は2018年8月31日以降に終了する決算期には適用されません。
  • ✓設立費用はACRAのS$300だけ。社名申請のS$15が別にかかり、合計S$315です。

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本記事の情報について

2026年9月時点のACRA、IRAS、MOM、URA、GoBusinessの公開情報に基づいています。手数料と期限は改定されます。申請前にACRA(acra.gov.sg)で最新の情報をご確認ください。

参照した一次情報

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