2026-08 更新

食費の目安

ホーカーの実勢価格と、公的統計で見た世帯別の食費。

本記事の情報は参考目的です。制度は変更される場合があります。最新情報は各提供元の公式サイトでご確認ください。

支払総額は表示価格の1.2倍になる

レストランやカフェのメニューに書かれた価格は、支払額ではありません。サービス料10%とGST(消費税)9%が加算されます。ここで日本の感覚と違うのは、GSTがサービス料込みの金額に課される点です。

IRASが示している計算例がそのまま答えになります。飲食S$100にサービス料10%を加えてS$110、その110に9%のGST(S$9.90)が乗って、支払総額はS$119.90。上乗せは10%+9%=19%ではなく、19.9%です。

表示価格のルール

GST登録事業者は原則としてGST込み価格を表示する義務があり、違反は1件につき最大S$5,000の罰金です。サービス料を課すホテル・飲食店だけが例外としてGST抜き表示を認められており、その場合は「表示価格にGSTとサービス料が別途かかる」旨を目立つ形で掲示しなければなりません。サービス料を課さない店にこの例外はありません。なおサービス料は法定ではなく事業者の判断で、IRASは支払うべきかどうかに関与しないと明記しています。

ホーカーの実勢価格

シンガポールの外食は下限が非常に低く、上限が高いという分散の大きさが特徴です。下限をつくっているのがホーカーです。統計局が採取した2025年の平均価格を見ると水準がはっきりします。

品目2025年平均価格
経済飯(おかず3品)S$3.74
チャーシューライスS$4.13
チキンライスS$4.14
フィッシュボールヌードルS$4.27
ワンタンメンS$4.47
チャークウェイティアオS$4.62
スライスフィッシュビーフンS$5.81
チキンビリヤニS$6.92
チキンチョップS$7.80

飲み物はコーヒーや紅茶(ミルクなし)がS$1.19、練乳入りでS$1.39、缶飲料がS$1.76。ロティプラタは1枚S$1.27です。1食あたりS$5から6で収まる計算になります。

サービス料の慣行がなく、屋台の多くは課税売上がGST登録のしきい値S$100万に届かないため、レジで上乗せもされません。表示価格がそのまま支払額です。

ホーカーセンターとフードコートは別物

「ホーカー」と一括りにされがちですが、統計局の分析ではフードコート・コーヒーショップの平均価格水準はホーカーセンターより高い傾向にあります。しかもCPIのバスケット上、ホーカーフードの8割はフードコート・コーヒーショップが占めます。

日本人が日常的に使うのはショッピングモールやオフィスビルに入るフードコートのほうが多いため、ホーカーセンターの価格で予算を組むと足りなくなります。

なおNEAはホーカーセンターの料理の価格を規制していません。屋台家賃に最低入札額を設けず転貸を禁じることで、営業者が安い価格を設定できる環境を保つという間接的な関与にとどまっています。

公的統計で見た世帯の食費

家計調査(HES 2023)による居住世帯の月額食費は次のとおりです。

世帯人数家庭内の食料外食合計
1人S$167.3S$410.2S$577.5
2人S$320.0S$741.4S$1,061.4
3人S$449.6S$963.4S$1,413.0
4人S$562.7S$1,236.3S$1,799.0
5人S$709.4S$1,415.3S$2,124.7

目を引くのは外食が食費の3分の2を占めることです。日本の家計とは構成が逆に近く、シンガポールでは外食が例外ではなく日常の食事にあたります。住居が狭く共働きが多いという生活の形が、そのまま食費の構造になっています。

ただしこの統計をそのまま自分の予算に使うことはできません。HESの対象は世帯主がシンガポール国民または永住権者である世帯で、就労ビザで滞在する外国人世帯は調査対象から除かれています。日本人世帯の実額は、日本食材や日本食レストランの利用が加わるぶん、これを上回るのが普通です。

所得が上がっても食費はさほど伸びない

所得上位20%の世帯でも食費の合計は月S$1,868.2で、家庭内の食料支出はS$492.1と下位20%のS$349.8の1.4倍にとどまります。大きく開くのはレストラン・カフェ・パブへの支出で、上位20%のS$826.4は下位20%のS$126.0の6.6倍です。食費で差が出るのは外食の質であって、食材の量ではないということです。

スーパーの食材価格

品目2025年平均価格
鶏卵 10個S$3.29
牛乳 1LS$3.73
全粒粉パン 400gS$2.84
タイ米(プレミアム)5kgS$14.24
丸鶏(チルド)1kgあたりS$8.61
豚赤身 1kgあたりS$15.56
サーモン 1kgあたりS$34.95

基礎的な食材は日本と大きく変わりません。予算が膨らむのは日本の食材を買い続けた場合で、こちらは輸入品として別の価格帯になります。日本食材の価格には公的な統計がないため、実際の店頭で確認するしかありません。

2026年6月の消費者物価の前年同月比を見ると、食料全体が2.1%、外食が1.7%に対し、外食を除く食料は3.1%でした。値上がりはスーパーの食材のほうが外食より速く進んでいます。

食費の構造をつくっている背景

  • シンガポールは食料の9割超を輸入しており、2025年は180以上の国・地域から調達している。国際的な商品市況と為替が食費に直結する
  • 食料品に輸入関税はかからない。関税・物品税の対象は酒類・たばこ・自動車・石油製品の4分類のみで、食料は輸入時の9%GSTだけ
  • GSTに食料品の軽減税率や非課税措置はない。日本の消費税が食品を8%に据え置いているのとは扱いが違う
  • 一方で酒類には高率の物品税がかかる。レストランのワインやビールが高いのはこのため
  • 水道水はそのまま飲める。PUBの水質基準とWHOのガイドラインを満たしており、ミネラルウォーターを買い続ける必要はない

世帯構成別の食費を含めた月額の総額は生活費の総額で扱っています。

関連記事