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移住後の手続き 2026-09 更新

税務申告のスケジュール。シンガポールと、移住する年の日本

シンガポールの個人所得税は前年の所得を翌年4月18日までに申告します。日本側では、出国する年の所得税と住民税、資産の多い人は出国税の手続きがあります。

本記事は2026年9月時点のIRAS(iras.gov.sg)・国税庁・総務省の公開情報と法令に基づく参考情報で、個別の税務アドバイスではありません。個別の判断は税理士や税務署にご確認ください。

シンガポールの個人所得税は、前年1〜12月の所得を翌年の3月1日から4月18日までに申告します。2025年から紙の申告の期限も4月18日にそろい、電子と紙の違いはなくなりました。日本語の資料には紙は4月15日と書かれたものがまだ残っています。

日本側では、出国する年の所得税と住民税、資産の多い人は出国税の手続きがあります。この記事はIRAS、国税庁、総務省の公式情報と法令で内容を確認しています(2026年9月時点)。

シンガポール(IRAS)の年間スケジュール

時期内容
2月〜3月申告が必要な人に、IRASから手紙・SMS・メールで通知が届く
3月1日まで雇用主が前年の給与情報をIRASに提出する(Auto-Inclusion Scheme、申告書に事前入力される)
3月1日〜4月18日申告期間。電子も紙も4月18日まで。myTax Portalから最大14日の延長を申請できる
3月中旬〜D-NOAの対象者に、申告なしでNOA(税額通知)が届く
4月末〜9月末申告した人とNo-Filing Serviceの人に、NOAが順に届く
NOAの日付から1か月納付期限。GIROなら最大12回の無利息の分割払いで、引き落としは5月から

納付期限の起算点は、NOAを受け取った日ではなくNOAの日付です。6月2日付のNOAなら7月2日が期限になります。2026年に申告したのは2025年の所得(YA2026)で、次は2027年3月から4月18日までに2026年の所得を申告します。

申告が必要な人

  • ✓IRASから申告の通知を受けた人(所得額や、勤務先がAuto-Inclusion Schemeに参加しているかどうかにかかわらず)
  • ✓通知がなくても、前年の総所得がS$22,000を超える人、自営業の純利益がS$6,000を超える人、シンガポール源泉の所得がある非居住者

No-Filing Service(NFS)の通知を受けた人は申告不要で、4月18日までに事前入力された内容を確かめます。ただし初めて使う所得控除(子どもの控除など)は事前入力されません。移住初年度に控除を受けたい人は自分で申告するか、NOAを受け取ってから、その日付から30日以内に「Amend Tax Bill」で追加します。Amend Tax Billは1つのNOAにつき1回しか使えません。

遅れたときの罰則

遅れ結果
納付の遅れ未納額の5%を加算。加算から60日後も未納なら、1か月ごとに1%(最大12%)を追加。銀行や雇用主からの差し押さえ、出国禁止命令の対象にもなる
申告の遅れIRASが推計でNOAを出し、1か月以内の納付を求める。最大S$5,000の和解金か、裁判で最大S$5,000の罰金。2年以上申告しないと、税額の2倍のペナルティと最大S$5,000の罰金が科されることがある

GIROの申込みが納付期限までに承認されていないと、5%の加算は避けられません。5月より後にGIROに加入すると、引き落としは承認の翌月に始まって翌年4月に終わるので、回数は12回より少なくなります。NOAに異議を申し立てている間も、税額は期限内に払います。

移住初年度の居住者判定

外国人は、前の暦年に183日以上滞在または勤務すると税務上の居住者になります。183日未満でも、2暦年にまたがって続けて勤務し前後の滞在を含めて183日以上になる場合(取締役などは対象外)と、3年続けて滞在した場合は居住者になります。有効期間1年以上の就労パスを持つ人は当初から居住者として扱われますが、退職時のTax Clearanceで滞在が183日未満なら非居住者として計算し直されます。

非居住者の給与は、一律15%と居住者の累進税率で計算した額のうち高い方で課税され、所得控除は使えません。税率と控除の詳細は個人所得税にまとめています。居住者が国外で得た所得は、シンガポールに送金してもパートナーシップ経由のものを除いて課税されません。

シンガポールを離れるとき(IR21)

外国人の従業員が退職する、海外に赴任する、3か月を超えてシンガポールを離れる場合、雇用主はその1か月前までにForm IR21でIRASに届け出ます(Tax Clearance)。本人ではなく雇用主の義務で、雇用主は退職や出国を知った時点から、従業員に払う給与などを留保します。届出をしない、または遅れた雇用主には最大S$5,000の罰金があります。自分の会社にEPで雇われている起業家は、雇用主として自分のIR21を出すことになります。

移住する年の日本の手続き

所得税

ケース申告
1年以上の予定で海外に転勤・出向する会社員(給与2,000万円以下)会社が出国の日までに年末調整をする。ほかに所得がなければ申告は不要
給与が2,000万円を超える、または給与以外の所得が20万円を超える出国の時までに確定申告(準確定申告)をする。納税管理人を届け出れば、翌年2月16日〜3月15日に申告できる
退職してから移住する(転職・起業。12月の給与支給後の退職を除く)出国時の年末調整の対象外。納める税があって納税管理人を届け出ないなら、出国の時までに申告する。還付だけなら出国前に申告するか、納税管理人を定めて翌年1月1日から5年以内に還付申告する

国税庁は、納税管理人を届け出ずに出国する場合の申告を「確定申告(準確定申告)」と呼んでいます。納税管理人は個人でも法人でもよく、「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を出国までに税務署へ出します。住民税の納税管理人は市区町村への別の届出です。扶養控除や配偶者控除は、12月31日ではなく出国の日の状況で判定します。

日本の居住者・非居住者の判定

日本の居住者かどうかは住所(生活の本拠)で決まり、年間183日といった日数の基準はありません。国外で1年以上続けて住むことが通常必要な職業に就けば、国内に住所がないものと推定されます(所得税法施行令第15条。同居の家族も同様)。初めから1年未満と分かっている海外勤務なら、居住者のままです。

183日は、日本とシンガポールの租税条約で短期滞在者の給与を免税にする要件(連続する12か月で183日以内など)で、居住者判定の基準ではありません。判定の考え方は日本の居住者・非居住者の判定で詳しく解説しています。

住民税

1月1日に住民票がある市区町村が、前年の所得に課税します。出国した年の住民税も納めます。給与天引きの人が6月1日〜12月31日に退職する場合は申出により残りを一括で徴収でき、1月1日〜4月30日の退職は原則として一括徴収です。12月31日までに海外転出届を出して出国すれば、翌年度分は課されません。詳しくはシンガポールに住民税はあるかにまとめています。

出国税(国外転出時課税)

国外転出の時に有価証券などを合計1億円以上持ち、過去10年のうち国内に住んでいた期間が5年を超える人が対象です。納税管理人を届け出た人は翌年3月15日までに確定申告し、届け出なかった人は出国までに準確定申告します。納税管理人の届出と担保の提供を条件に、5年(延長すれば最長10年)の納税猶予があります。詳しくはシンガポール移住と日本の出国税で解説しています。

非居住者になった後も日本で申告が要る所得

  • ✓日本の不動産の賃料や売却益。納税管理人を通じて翌年2月16日〜3月15日に申告する。賃料は借主が20.42%を源泉徴収し、申告で精算する(個人が自分や親族の住まいとして借りる場合は源泉徴収なし)
  • ✓日本の不動産を売ると、買主が代金の10.21%を源泉徴収する(個人が自分や親族の住まいとして買い、代金が1億円以下の場合を除く)
  • ✓日本法人の役員報酬。海外に住んでいても国内源泉所得として20.42%が源泉徴収される(使用人として常時海外で勤務する場合を除く)

非居住者の期間に使える所得控除は、基礎控除、寄附金控除、雑損控除(国内資産の損失に限る)だけです。

参照した一次情報

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